2015年度 理事長所信

Positive Change ふるさと大家族という約束

一般社団法人江津青年会議所
2015年度 理事長 平下智隆

2014年6月1日、江津青年会議所創立40周年記念式典後の祝賀会。我々は炎天下のグランドで、未だかつてない大きさの人の輪を描き、若い我らを歌い上げた。そこには現役会員はもちろんのこと、その家族や会社の同僚、諸先輩方、一般の方々、また心半ばにして退会した仲間たちも一つの輪になった。その時、我々はふたつの「時」に思いを馳せていた。ひとつは70年前、もうひとつは40年前。
現在とそれらふたつ時が重なりあい、未来に向けての誓いが湧き上がる。「我々はふるさと大家族という約束を果たす」と。

1945年8月15日。この日を「終戦」と呼ぶのか「敗戦」と呼ぶべきかたくさんの議論がある。歴史の連続性の中でひとりひとりが今を生きていること、そして決して勝ち戦ではなかったことを鑑みて、僕はこの日を敢えて「敗戦」と呼びばていただきたい。国民全員が一致して開戦に向かったわけでは決してないが、どこか遠くの国々の戦争が終わったかのように、また、敗北や多くの犠牲の責任を一部の先人に追わせ、戦後の僕たちはその責任から無関係で免れているかのように、ただ単に無機質でイノセントな「終戦」という言葉を選ばない。むしろ、戦いに負けた悲しさや屈辱、力を出しきり疲れきって戦いが終わった複雑な想いを先人と少しでも共有させていただいて、今を生きたい。

日本の青年会議所運動の原点はこの敗戦の日にある。創立メンバーの多くは大東亜戦争を戦い、奇しくも生き残った方々だった。ふるさと大家族とも呼べる家族・地域・国家を守るために、靖国で会おうと誓い合い、散っていった戦友を想う自責の念と茫然自失の時を過ごしながらも、それでも苦慮し、逝った友の意志を引き継ぐために、戦後焼け野原の中で自分たちは何をすべきだろうと考え、集まった青年たちが青年会議所運動をスタートさせたi。「新しい日本の再建は我々青年の仕事である」という言葉の背後には、筆舌に尽くしがたい戦友へとの「約束」があった。当時の最優先課題は食料の確保と経済の復興。戦後日本の奇跡的な復興と成長の原動力は厳粛なこの「約束」とふるさと日本を愛する心があったからに他ならなかった。その運動の灯火は広がり、1972年、ふるさと江津地域の発展を誓い江津青年会議所が設立されるii。

敗戦後直後の食料不足は解消され、1951年サンフランシスコ平和条約締結を経て、敗戦後占領下にあった日本は主権を回復し、高度成長期の繁栄を享受していく。戦争を知らない世代が社会の主人公になり、バブル経済の宴の中、豊かになった街の中で我々の先輩はあの「約束」が忘れ去られていることを自覚する。「豊かになった。しかし、これがあの人たちが望んだ姿だろうか。

敗戦後の教育の結果、地域より個人、国よりも個人を優先させることが当たり前に教えられ、ふるさと大家族からは程遠い状況です。これらを克服するために歴史・産業・芸能・食文化・自然環境を積極的に学ぶ必要があります。まさに教育は個人主義との戦いなのです。

ふるさと日本大家族に目を向けますと個人主義の克服のためには国史の共有が必要不可欠です。なぜならば人は歴史の共有によって家族になるからです。しかしながら敗戦の後の教育では自国の立場に立った自らの国の歴史=国史の概念があまりにも欠落しています。その結果、愛郷心や道徳心を持たない、「個人主義」が強くなってきました。特に今年70年を迎える敗戦直前のわが国の歴史についてほとんど教育されていない、もしくは先人をあたかも他人事のように断罪する教育がされ続けてきました。こんな中いったいどうすれば家族が一体化出来るのか。国史を知る事でふるさと大日本を取り戻すのです。一方、地域教育に目を向けますと近年インターネット等、目覚ましい発展により子供たちはたくさんの情報を得る事になりましたが、ふるさと独自の魅力を五感で実体験する事が難しくなっています。その事に対応して様々なふるさと教育を学校現場でも実施されていますが時間数の制約や安全意識の高まりによってより踏み込んだふるさと教育が行いづらい状況です。私達は学校教育や一家族では行いえない個人主義を克服するための大胆なふるさと教育を行います。私達はそのような状況を克服するために国の歴史や石見地域の産業・芸能・食文化・自然環境を積極的に学び、ふるさと日本大家族を創り上げます。

古より先人たちが開拓し、生活の礎を築き、脈々と営みを継続してきた誇りあるふるさと。私たちのふるさとをはじめ、地方の発展がこれまでの日本の発展を支えてきました。このふるさとを次の世代へとつなげていくことは私たち青年の責務です。現在、日本では、これまでに経験したことのない少子高齢化、人口減少が始まっています。先般、日本創生会議より公表された2040年時点の人口推計において、20歳~39歳の女性人口が5割以下に減少する「消滅可能性都市」が896iiiあることが発表されました。

島根県は、消滅可能性都市が8割以上となる最も状況が厳しい県の一つで、私たちの住む石見地域(大田以西)も例外ではありませんiv。人口減少が進めば、さらなる地域経済の減退、住民活動の衰退、財政の弱体化へとつながり、負のスパイラルに陥り、増々消滅の可能性が高くなります。この負の予想を覆し、ふるさとを維持・再生・発展させるには、その源となる働く世代、子育て世代が暮らしていける環境づくりが必要です。人口減少の要因のトップは、若年層の雇用の場不足による流出です。今こそ、「地域の経済再生」を行い、「持続可能なまちづくり」を行うことで地域経済を発展させ雇用の場を創出し、人口増加をさせることが必要です。

企業誘致、観光施策など様々な地域振興策がありますが、そもそもこの地域の経済がどのような状態にあるのか、このまちの何を振興すべきなのか、振興したものが地域経済にどれだけ効果があるのか、地域住民が理解できていない状況にあります。持続可能なまちづくりを効果的に進めるためには、まちの経済におけるモノやサービスの流れ、マネーフローが地域の内外でどのように動いているかを知る必要があります。地域経済の現状を知り、経済の循環構造を高めるために、外から稼ぐ力を最大限発揮すると同時に地域から外部への流出を小さくし、地域内での循環を最大限にする必要があります。石見地域の経済構造において域内市場産業の3割近くが公的支出に依存し、住民所得においても公的部門の雇用者所得と年金が所得全体の5割近くを占めています。特に公共事業の影響は大きく、建設業の従業者数4は10%を超えており全国的な平均よりも高い状態です。地域に影響の大きい公的資金を正しく理解し、適切に活用することが町の継続と再生に必要です。また、公的な支出によって地方の社会基盤を整備することは、地域に新たな産業をもたらし、その土地の生産性や付加価値を高め、地方の自立と国土全体の発展へとつながります。

日本は、世界でも類を見ない程、人・もの・金が首都圏に一極集中しています。これを地方に還元すること、分散させることが求められています。これは、貧しい地方に富を分配するという考えだけではなく、集中しすぎた富や機能を分散させるという積極的なリスク回避を行うことと国土全体に機能を分散させることで各地域が発展し日本全体が豊かになるという考えに基づきます。首都圏の機能を分散するためには、移転先にインフラ整備がされていることが前提条件となります。石見地域をはじめ、島根県には高速道路網も整備されていない状態です。今こそ、公共事業の在り方を考え私たちの町に最適なインフラ整備を進めるとともに、公共事業や建設業のみに依存しない外貨獲得による地域の再生を考え、地方と日本の発展を創造する必要があります。

社会基盤の整備や外貨獲得などが攻めの経済活動をしつつ、域内で消費をすることで財の流出を小さくし、域内循環させることで付加価値を高めて外へ出す守りの経済活動が重要です。現在の消費活動は、大量生産・大量消費による低価格化、メガネットストアと配達の進化により大きく変わりつつあります。個人が安さと利便性を得るかわりに地域の消費は落ち込み、町を支えてきた商店や産業が衰退し、ひいては地域全体の衰退へとつながります。企業間取引も同様に、既存のつながりからネットで安ければどこでもよい他社とつながるケースが増えています。地域の発展を考えるのであれば、刹那的な安さや利便性を求めるのではなく、個もしくは企業の消費活動が地域の発展に役立ち、まわりまわって自分のためになるそのような価値観をもって経済活動をすることが必要と考えます。世界で認められるブランドは、その土地ならではのもので、地元民が愛し、人々が脈々と歴史を紡いできたよそでは真似できないものです。ヨーロッパには、伝統と町を大切に思う住民がいる田舎にこそブランドがあります。自分のためだけではない、地域の将来につながるふるさと大家族の経済活動を目指す必要があります。

私たちは45周年までに100人LOMになると40周年の時、決意しました。しかしながら、会員拡大活動は組織維持や単に数を増やすということが目的ではありません。「どのようにすれば100名LOMになれるか」ではなく、「どのようにすれば江津青年会議所が掲げるミッションを遂行できるか」を一人一人が考え行動しなければなりません。そのためには、私たちが行っているJC運動に自信を持ち、一緒に汗を流す江津青年会議所の仲間に自信を持ち、そして自分の生き様に自信を持つことが出来れば会員拡大は成功します。

会員拡大活動には、「リストアップ」、「アポイント」、「面談(プレゼン)」、「クロージング」のステップがあります。この中で最も重要で難しいのが「アポイント」です。いかにメンバー全員でアポイントを取っていくことができるかを調査研究し、メンバー全員で「拡大活動のステップ」が円滑に回るシステムを構築します。

江津青年会議所は、近年の会員拡大活動の成功により飛躍的に会員数を伸ばし、石見地域最大級の青年団体に成長しました。江津青年会議所に入会することにより、学ぶことができる点はたくさんありますが、その中でも人を支えることを学ぶことは最大の価値の中の一つです。なぜならば、組織が生み出す成果のうちリーダーによる影響は20%に過ぎず残りの80%はフォロワー(支える人)によるものと言われているからです。このことは会社や家庭においても同様で特に上司や親を支えることは難しいスキルであるのと同時に、もしこのスキルと心構えを体得すれば、それぞれの人生は飛躍的に豊かなものになるでしょう。

江津青年会議所メンバー全員でこのスキルと心構えを養うことで、より強固な組織を作り上げます。私たち江津青年会議所にとって「江の川祭」はどのような意味をなすのでしょうか。市民祭といえる江の川祭の誕生以来さまざまな取り組みを実施してきました。「市民総参加型」の祭と位置付けてきたこともあり、多くの参加団体、市民を巻き込んだ結果、地域の学生たちが率先して作り上げた「ヤングストリート」事業、また多彩な企業が参加する「江津市音頭パレード」など継続して事業が実施されています。近年は地域資源である「石見神楽」や「石州瓦」などを各団体の協力、力添えもあり、これらを前面に押し出して行われる事業は来場される江津市民のみならず多くの人たちに郷土への思いを伝えつつ「江の川祭」に華を添えてきました。v

昨年合併10周年市制施行60周年を迎えた江津市は大きな変革の時を迎えようとしています。30年来の論争を経て動きだした駅前開発、それに乗じて編成された中心市街地活性化協議会の設立など今までに類を見ない変化の波が押し寄せようとしています。しかし、私たちをはじめ多くの市民はこれらの動きの本質を理解するには至っていないのが課題として挙げられます。このように暗闇の中を歩き続けているようなこの状況は好ましくないことは明白です。そして、この課題は何も江津市だけにみられることではありません。

石見地域のみならず全国で起こっていることなのです。そこで、なんとしても私たちが解決の糸口を見つけだし、この課題の答えを明確にしてゆくことができれば、明るい豊かな社会への一歩を踏み出すことができます。

「江の川祭」という「地域最大のローカルコミュニケーションの場」にこの課題を提題し、さらに解決の場を設けることができるのであれば、それは江津市民のみならず石見地域全域の課題の解決に一役かえることは必至です。

加えて、江の川祭を青年会議所活動の発表の場にします。私たちの活動は「英知と勇気と情熱をもって明るい豊かな社会を築くため率先して行動する」ことを規範とするのですから、より多くの人たちに私たちの活動を表現するべきです。さらに私たちを陰ひなたとささえてくれる家族や会社のメンバーにも胸をはって報告することもできます。江の川祭の場にて家族とともに時間を共有することができればこれほどの家族親睦はありません。精一杯出来うる限りの表現力をもって江の川祭に参加される人々に私たちの活動を伝播してゆきます。

江の川祭」は昨年31回を迎えるほど歴史ある祭りです。これからも35周年、40周年と節目、節目を通過してゆく上でも、さらなる発展が求められることでしょう。いつしか江津市だけの祭りではなく石見地域になくてはならない祭にしていきます。

江津青年会議所が地域からみて魅力的な組織であり、同志が集う組織であるため、円滑なLOM活動に向けた組織力の強化や活性化、健全な組織運営・積極的な情報発信は必要不可欠なことです。100名LOMを目指す江津青年会議所、組織を担うメンバーがこの重要性を理解し、メンバーの事をより知ることによってメンバー自身が大家族となり、またメンバーの家族や市民とも多くの交流を図りふるさと大家族をつくらなければなりません。そのためにはしっかりとした活動ができるよう資質の向上を行うことで、地域の未来を共有出来る多くの仲間を募り、一人ひとりが成長することで魅力溢れるメンバーであるからこそ、マチの活性化に繋がります。

どんな組織でも規律正しい運営を必要とします。設営の大事さを学び、メンバーが切磋琢磨する場を整え、青年経済人の集まりである青年会議所は、厳しい時代を乗り切るための日々活動を行っています。メンバー同士の絆を更に強固なものとするために、メンバーと組織の品格を高め、この地域、またこの国を支える大人として縁の下の力持ちが重要であるように責任ある行動を日頃より身に付け、対外的に積極的な情報発信を行う事で、多くの人達と連携を図り、「ふるさと大家族」を構築するため新たなネットワークづくり強固な設営、管理を展開し、明るい豊かなまちづくりが必要なのです。

To provide development opportunities
that empower young people to create positive change.

青年会議所運動の使命はひとつ。「好ましい変革を自らつくり出す成長の機会を若者に提供すること」。70年前、41年前、そして昨年交わしたふるさと大家族という約束をもう一度胸に、41年目のこの地域の青年会議所運動を推し進めます。

– 注釈 –

i 日本青年会議所設立趣意書「全人類の光明は、われわれ青年会議所の純粋な正義感と、目的完遂の確固たる実行にうらづけられて初めてその輝きを見出し得る。日本経済の建設にたずさわるわれわれ青年が、同士相寄り、相互の啓発と社会への奉仕とを通じて、広く全世界の青年と提携し、経済社会の現状を研究して、その将来進むべき方向を明確にし、経済界の強力な推進力となり、日本経済の発展に寄与せんとして設立した青年会議所は、日本においても現在までに10以上の都市にその設立をみた。ここに志を同じくする日本各地の青年会議所が、相寄って全国的な組織を持ち、相互の連絡を図り、更に国際青年会議所に加入することによって、一層力強くその理想達成に邁進せんが為、ここに日本青年会議所の設立を企画した次第である。」1951年2月

ii 江津青年会議所設立動機「激変する世代とも言われる今日、江津市は過疎化も進み、人口も3万人弱と言った財政的にも弱体な地方自治体です。地形的にも海岸線に細長い市街地を形成し、まとまりにくい立地条件下にあります。我々は今後、自己の修練、視野の拡大、幅広い認識の上に立脚し、志を同じくする若者が結集して、力を合わせ、地域社会発展のため、又、「住みよい新しい街づくり」を目指したいと考え、青年会議所の設立を決意しました。」1972年10月

iii全体の49.8%

iv 石見地域の総人口は2010年から2040年にかけて41.8%の減少、子どもを産むとされる20歳~39歳の女性人口の減少は56.4%予想

v つまり、私たちにとって「祭りは地域最大のローカルコミュニケーションの場」という意味が根付いており、「江の川祭」はその最たるものであると認識しているからに他ありません。であるならば、これからの「江の川祭」に対する取り組みは明確になるのではないでしょうか。

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