南日本海ネットワーク会議2015事業 藤井聡氏講演会「今、この地域に高速が必要な理由」

江津JCホームページをご覧の皆様こんばんは!

間が開きましたが、先週行いました南日本海ネットワーク会議2015事業「藤井聡氏講演会」のご報告です。

10月10日(土)江津市総合市民センターにて行われた今事業は、地方であるこの江津市において、インフラである高速道路早期開通にむけて地元に住む住民をはじめ私達地域経済にとって貴重な機会となりました。

NCN_4835

会に先立ち平下理事長挨拶では、平成5年に開港した萩石見空港の周辺にある長門、萩、益田、浜田、江津の5つの青年会議所が空港を中心とした圏域の発展に寄与するため南日本海ネットワークを立ち上げ以来22年間活動してきた経緯を話されたとともに今年度江津が任務を行うにあたり何をすべきか、この地域に何が必要か考えたところ”インフラ”が必要であるという結論、そしてインフラが必要であるという”意識”が必要であるという考えてに至りました。
京都大学大学院教授であられる藤井聡様を迎えての講演会を計画致しましたが、現内閣官房参与でもあられ国家の中枢でご尽力されている多忙極まるなかだったんですが、この江津の地に来て頂けることになりました。この地域のインフラのありかた、この国家の経済の見方、どうか皆さん、心ひとつにして一緒になってこの地域を盛り上げるべくどうか今講演会、ご清聴賜りますようお願い申し上げますとご挨拶して頂きました。

 

そして、二部構成の第一部である藤井聡様のご講演。

NCN_4838
島根県にもご縁がおありで、一年に一度ほど島根を訪れるという藤井様ですが多忙ななか、なぜ地方に来て頂けるのかというと地方には圧倒的にインフラが不足しているからだとおっしゃっておられました。地方に住む我々が声を上げていかないとこの格差は埋まらないともおっしゃられていました。
しかし、各地方の方々と触れるなかで地方の方はもう高速が無いということが当たり前の感覚になっているともご指摘されました。
アメリカ、ドイツ、フランス、イタリア、などなどいわゆる先進国に比べて先進国であるはずの日本がことインフラに関しては格差(地方と都会)が尋常ではないということをデータを元に分かり易く教えて頂きました。その差は地図で見ると一目瞭然!
さらに都市圏でのインフラでも東京と大阪では高速の本数で言うと2倍の差があるというデータをもとに東京一点が超インフラでありそこにある大多数の意見がこれ以上のインフラを求めないという傾向にある意識が結果我々地方のインフラ状況に影響しているということでした。本当に高速を求めるのであれば地方に住む私達が声を上げないといけないことを改めてご指摘頂きました。
高速道路をつくるときの一人当たりの費用というデータについてもお話頂き、都会であれば人口の多さから道路にかかる費用は一人当たりで見ると確かに安くなります(東京都市圏で人口3000万人)。しかし、人口も少ない地方は、一人当たりで見ると都会よりも何倍もの費用がかかる事になります。数字上で見れば効率が悪く高速をつくる理由にはならないけれどもこういったデータをもとに高速の建設が滞っている現実もあるということです。
高速道路が地域に与える格差の事例について研究したお話をして頂きました。中国地方でも瀬戸内海側に開通した山陽道。対して山陰地方(日本海側)の道路が未だ開通していないためどういった結果になったか、山陰地方の経済は言わずもがな疲弊の一途を辿ることになりました、インフラが無ければ経済の活動も大きく動くことがなくその結果仕事がなくなり、人口流出や若者が都市圏にでるという結果にも繋がりました。一概には言えませんがこの”道路”が無かったからという現状が実は地方の経済にとっては致命的な状況をつくり出すということを教えて頂きました。

NCN_4837
今まさに、一極集中で都市開発が進み経済的には成長した日本ですが今度はそれを返す時。多数決で道路建設をやっている限りいつまででも地方には高速は通らない、私達地方の人間が道路が必要だと認識することの理由として、一つが先進国だと隅々まで道路が行き届いていること。そして、もう一つが都会に道路ができれば田舎に被害が起きるということ。この2点をまず認識することが大事であるということでした。

地方の経済が疲弊しているのが高速のせい?という方に。高速道路インター付近、そしてそれ以外の事業所の経済状況を比べたデータがありその比較についてのお話もして頂きました、工業系の事業所で高速インターに遠いところにある企業の成長率が85%に対して、インター付近では、169%と2倍の差があること。更に、商業では、遠いところが8%の成長率に比べ、近いところではなんと92%という差があるというデータもお聞かせ頂きました。物流コストや人も含めたものの動き、こういった状況がし易い地域では経済が比較的発展する。江津市はかすかにインターが届いているので助かっている状況がありますが、高速が行き届いていない地方にとってはまさに死活問題であり、まっとうな経済活動ができないのもうなずけるお話でした。道路だけが経済を回復させるのではないが間違いなく地域経済の第一歩になり、地域の経済に直結していることを認識しました。

 

そして最後のお話として、まずは人口の流出を防ぐこと。小さなインフラの整備がこの地方の疲弊を止められる。人は自分が生まれた地域が好きであり、暮らせるのであれば生まれ育った地域で働きたいと思っているはずです。地方と都会の格差を止めなければならないし、それは未来を考えた時必然の対応になると思います、是非ともこのインフラを軸とした経済の発展を考えていて頂きたいと思いますとエールを贈って頂きました。

 

第二部のパネルディスカッションでは、山陰中央新報社論説委員会の高尾委員長にコーディネーターを務めて頂き、藤井様も同席のもと、パネリストとしてNPO法人てごねっと石見の横田理事長、江津市建設業協会の原副会長、国土交通省中国地方整備局浜田河川国道事務所の松本所長、そして一般社団法人江津青年会議所平下理事長が登壇されました。

NCN_4848

道路と経済というセッションでは、やはり高速が行き届いていない現状が山陰地方の同胞意識の障害になっていて、浜田道ができたことで広島からの来客は多くなったがなかなか滞在するということにはつながらずお金を落とさず通り過ぎていく印象が強い現状がある。各地域でも良い事業、取り組みをやっていはいるが単独であり、まとまった動き、活動や団結に至っていないため商業的にも障害があると感じているという話がありました。

NCN_4850

建設業からは3つの大きな役割、つくる・メンテナンスする・そして災害に対応するということから、突発的に起こる災害に道路が行き届かないため充分な対応ができるかどうか心配する意見もありました。

また、建設業は政府と民間の仕事という2種類の所得があり政府の公共事業という大きな仕事になると建設業から様々な業種に仕事を発注することから広域で地域経済を支えるところにつながっているというお話もありました。
生活と道路というセッションでは、道路事業が遅れている中国地方ですが一部開通したところでどういった効果があったのかというお話があり、事業者からは販路拡大や物流計画の効率化、燃費の向上に繋がるなどのお話がありました。

NCN_4852

定住とインフラというセッションでは、道路がどうあるべきかという事自体があまり考えられていない現状があり、卒業後の学生が県内にもっと残ってもらうために若者にもっと道路が重要であるということを落とし込んでいかなければならないという意見がありました。また、この地域で行っている田舎ツーリズムという体験型のプログラムも年々応募件数が上昇しているので、行き来を更に良くし活発にしていくためにも高速が必要になってくるという話もでました。

医療についても道路が行き届いていない地域での救急搬送や到着までの時間を短縮しようとするとどうしても高速が必要になってきてそれはまさに命に関わってくる重要なことだということや、曲がりくねった道路ではなく安心して搬送するためにも高速はかなり力になることや、夜間はドクターヘリが飛べないことからも道路の重要性が高まっていることがあげられました。

DSC_0049

道路はあらゆるところに影響していてインフラストラクチャー、救急・防災・観光など、重要な拠点をつなげる機能があることは話の中でもあげられましたが、松江ー出雲と浜田ー江津が分断しており、萩空港もつながっていない。これらが一本で通ることで統合され交流はじまり、ビジネス、観光、医療の発展に寄与する。そして、地域資産をシェアすることができるという事をお話頂きました。

今事業を通じて様々な意見や現状を知ることができ、道路が与える大きな影響力について感じ、そしてこの地方には高速が必要だということを強く認識させて頂ける講演会、パネルディスカッションとなりました。

 

そして、講演会終了後は藤井様とパネリストの皆様、そして南日本海ネットワーク会議の青年会議所メンバーと懇親会を開き、この日の講演会についてやお互いの活動を語り合い懇親を深める機会とさせて頂きました。

DSC_0119

DSC_0083

公共交通機関を使って首都東京から一番時間のかかると言われるこの江津の地にご多忙の中、お越しくださいました藤井聡様。

この地域の現状、そして高速道路が必要というお話を分かり易くまた様々な方面からお話してくださりました、コーディネーターの山陰中央新報社論説委員会委員長 高尾雄裕様。NPO法人てごねっと石見理事長 横田学様。江津市建設業協会副会長 原諭様。国土交通省中国地方整備局浜田河川国道事務所所長 松本治男様。

中国地方の発展のため共に活動し、そして今日のため江津の地に集っていただきました、南日本海ネットワーク青年会議所メンバーの皆様。

今日という機会に足を運んで頂いた来場者の皆様、本当に有難う御座いました!