理事長所信

所 信(案)

一 騎 当 千
~歴史(かこ)ら未来へと挑む今、己を信じて突き進め~

社団法人 江津青年会議所
2014年度 理事長 小川 知興

はじめに

日本の青年会議所運動は1951年、戦後の混沌とした荒廃状況のなか「祖国日本の復興は我々青年の使命である」という覚悟のもと、再建に燃えた日本を愛する若者たちにより灯がともされました。
それから時を経ること23年、江津市においても1974年、地域の明るい未来を目指して、青年会議所運動は始まり、先輩諸兄の熱い情熱と努力の結晶によって、ふるさとのマチづくりに大きな影響を与え、伝統を継承し40年間という長い歴史を刻んでまいりました。
歴史は一年365日ごとの積み重ねであり、その連続の中でしか生まれません。これまで江津青年会議所は、その一年一年において地域からの期待に応えてまいりました。先輩諸兄の存在、また創造力や行動力は現役会員にとって大きな力と勇気を与えてくれるものであります。
私はこのような組織の一員であることが純粋に嬉しく、誇りに思います。日々、その誇りを感じさせてくれる組織の歴史と先輩諸兄が築き上げてこられたマチづくりへの姿勢に感謝の気持ちで一杯です。
本年、創立40周年を迎えるにあたり、これまで活躍されてきた先輩方に感謝の意を表すと共に、次代に向けた第一歩を踏み出すために一年間精一杯運動を展開してまいります。そのためにも我々一人ひとりが「一騎当千」の力を携え、夢を描くと同時に強靭な意志
のもと挑戦、実行する勇気を持ち、己を信じて突き進まなければなりません。歴史(かこ)から現在(いま)、いつの時代も未来を切り拓いていくのは誰なのか?率先して行動を起こしていくのは、我々JAYCEEなのです。

組織の透明性かつ円滑な財務運営

我々江津青年会議所は、社会的義務を自覚し、会員からの会費や自治体からの助成金等が資金になっていることを充分に認識し、地域から信頼される組織として、公正かつ明瞭な形で財務運営を行うことが求められています。
財政委員会では、組織の基盤を形成する資金を適正に管理運営するため、専務理事をサポートしながら組織全体の予算を把握し、公益性の確保を図るとともに、客観的な立場から、理事会に上程される諸議案の計画・予算・決算・報告書に対して厳格な審査、指導を実施することにより、円滑な財務運営を行います。

組織の進化と継承

現在、我々と同じような青年の集まりで専門性を持った多くの団体が地域の為に活動、情報発信をしています。そのような中、我々は歴史と伝統を継承し、運動という継続、連続の中で絶えず成長していかなければなりません。会員一人ひとりの顔が見える、魅力的な情報発信を積極的に行い、その検証を行うことによりこの地域から真に求められる組織として進化していきます。
また、我々は歴史と伝統を継承しながら絶えず変化しなければならないのです。厳しい時代だからこそ、現状をしっかり認識し、引き継ぐべきものと変えるべきものを見極めた組織の「進化と継承」を実践します。
そして、有事において社会を救う青年会議所の存在は、社会を守る仕組みの一つでありインフラストラクチャーと言えます。いつ発生してもおかしくない自然災害や有事の際には、江津青年会議所会員全員で対応していくことが地域への最大の貢献となります。会員全員が統一した知識を持ち、我々から勇気を持って手を差し伸べることの出来る力を養います。

会員拡大の必要性と「つながり」の重要性

現代の地域情勢や社会の経済状況は確実に厳しい環境下であり、全国の青年会議所が抱える会員数減少という問題は、我々にとっても「対岸の火事」「他人事」ではないのです。青年会議所運動を行動に起こして行く時に、必要となるのは志を同じくしたJAYCEEの存在であります。会員数は運動の原動力や推進力であり江津青年会議所の存在価値でもあります。「なぜ拡大をしなければならないのか?」
青年会議所の事業は全てが目的達成のための手法であり、その目的とは明るい豊かな社会の創造にあります。それを達成出来るのはその地域に住む我々にしか出来ません。多くの志を同じくする者が相集い、考え、力を合わせ行動することが地域を発展させる原動力となり、その数が多ければ多いほど地域は活性化していきます。つまり会員拡大の魅力であり重要な意義とは、そういうヒトを育てることであり、青年会議所の魅力を広め、この活動を継続し後世につなげていくことです。我々は、地域活動を通して奉仕の精神、友情を育くむことが出来る組織なのです。
会員一人ひとりが組織の存在意義を明確に理解し、自身の資質を高めることで青年会議所の魅力はさらに高まり、その結果、会員拡大へとつながります。
会員数の増加で「つながり」をさらに強固なものとし、青年会議所の価値を今まで以上に地域に伝播し、会員一丸となり真摯に会員拡大を行います。

夢と希望溢れる青少年を育もう

現在、少子高齢化、若者の人口流出による閉塞感が地域には漂い、社会環境を起因とする家庭内環境の変化で、子供達がのびのびとヒトとふれあい、コミュニケーションや想像力を養う機会が減っています。
想像力を働かせるということは、自分の夢を想い描くこと以外にも、歴史(かこ)から未来を考え、ヒトとの接し方や思いやりの心を育むといった、子供達に必要なたくさんの要素を持っています。
ヒトとヒトとのつながり、他人への思いやり、地域の魅力や将来のことについてなど家庭や学校、地域単体では伝えることが難しいことを我々が先頭に立って伝えていかなければなりません。
未来を見据え、切り拓いていくために必要なのは我々一人ひとりの意識の変革と行動であり、そのための機会を地域資源を活用して創り続けていくのが我々の使命です。
未来を担う子供達は間違いなく地域の希望です。
今こそ子供達が一意専心に夢を描ける地域を取り戻さなければなりません。我々責任世代が先頭に立って、次代を担う子供達へ夢と希望を語るのです。
次代を担う青少年達に夢を抱かせることにより地域の一躍を担い、江津に夢と希望を溢れさせる青少年を育成します。

ふるさとの宝を磨き上げよう

古より工業のマチとしてヒトが溢れ、心豊かな人々が伝統文化を継承し歴史を築いたふるさと江津。しかし、栄えしマチの面影は失われつつあり、伝統の継承が危ぶまれています。特に伝統文化は地域の生活や産業と密接に結び付いているがゆえに喪失、消滅の危機は、将来への不安につながります。
しかし、薄れゆく地域財産の中において石見地方には地域のアイデンティティー、代名詞と呼べる「石見神楽」と「石州瓦」があります。
これらは点在するオリジナリティーの中にあっても個性、創造性、独自性は双方に共通する魅力であり、勇気や誇りを与えてくれるモノです。
伝統文化は由緒を持ってその土地土地で長い間培われてきたモノであり、その土地の自然、気候、気質あるいは物理的、歴史的な背景をも含まれて根付いています。
「伝統と変革」この相反する性質の狭間の中で変革を試みるならば、伝統文化の本質、本義を見失う事なく、軸のブレない芯の太さと強さを兼ね備えたうえで伝統とのバランス感覚を持ち合わせていく事が必要です。
受け継がれてきた想いと魅力をさらに磨き上げ、守り伝えていくことは現代(いま)に生きる我々の使命であり、石見神楽と石州瓦をマチづくりの軸に置き、各社中や窯業界、行政などより多くの方々と連携し、持続可能な仕組み作りと情報発信を行なう活動を通じて地域との一体感を醸成します。
急激に進むグローバル化の世の中にあっても地域固有のモノを地域住民が理解し、自らの意志と想いで発信していくことが絶対に必要です。江津でしか加えられない物語を活かして付加価値を付けて磨き上げられたモノは江津にしかない唯一無二の存在と呼べるものになるのです。活動を通じて江津が素晴らしい地域であることが確信でき、より一層輝かせていきたいと思える市民協働によるマチづくりを展開します。

江津駅前、江の川祭の未来を創ろう

日本経済、特に地方経済が今までにない厳しい局面を迎えている昨今、一人ひとりが企業人としての試練を迎えています。不況と言われる時代だからこそ本物の企業、地域に貢献出来る企業人が光り輝くのです。
JAYCEEは青年経済人らしい感性を持ち、現状を把握した上で多くの人と議論を重ねていく必要があります。マチづくり、ヒトづくりは誰かがやってくれるといった甘い考えは無くしていかなければなりません。
現在、第5次江津市総合振興計画において「市の顔」として都市基盤の整備と中心市街地の再構築を図るため江津駅前地区の再生整備の方向性を示したうえで実現の可能性について検討されておりますが、計画中の事業主体や事業手法、また施設の配置などについては確定していない状況です。
我々の目的は、明るい豊かな社会の創造であり、短期的なものだけではなく長期的な視点が必要です。
我々JAYCEEが地域の未来を見据え、責任世代として一人ひとりがマチと向きあえる「理想のマチ江津」を提言していき、その過程、活動において多くの市民、団体を巻き込み江津駅前の活性化を図ります。
また、ローカルコミュニケーションの究極は「まつり」です。江津市最大のイベント「江の川祭」も前回第30回記念大会を大成功に終え、江津青年会議所の存在が大きくなり、地域よりさらに期待を寄せられる動きとなり始めた今こそ、この運動を後世へと繋いでいくために、今後の我々の運動の方向性、即ち新時代に責任を持つ我々が市民主導型の祭を実現し、祭とマチの未来を創造していかなければなりません。
「江の川祭」は一体誰のためにあるのか、それは間違いなく江津市民のためなのです。
この「市民のための祭」であることを市民に改めて認識していただくためにも、企画・運営の段階から自発的に行動し、喜びや感動を分かち合うことで、江の川祭実行委員会のメンバーを含め、多くの市民の力で祭を創り上げます。
祭の未来を見据え、市民主導型へと進化、それを実現するためにも、我々JAYCEEが先頭に立ち、やらされシゴトではなく、自分たちでやりたいと思える本気で純粋な祭を企画し、喜びや感動を市民の皆様と分かち合うことで、共に江津を愛する想いを力強く表現し、未来のマチづくりの原動力としていくための運動を展開します。

40年の節目と次世代に向けた決意

1974年の創立以来、江津青年会議所には諸先輩方が紡いできた歴史とドラマがあり、今の我々と同じ青年が、知恵と勇気と行動力で行われてきた様々な事業があります。そしてそれらは、現在一本の大木の如く、根を下ろし、幹が育ち、枝を広げています。この40周年という節目の年は、先輩方への感謝、尊敬はもちろんのこと先輩方に続いて我々も力強く歩み続けなければなりません。
我々の意志を表現する場にするべく記念式典を厳粛かつ報恩の想いを持って執り行い、ご参加いただいた方々に40年の歴史・功績を伝え、今後も我々が明るい豊かなマチづくりを担っていく覚悟を「江津JCグランドデザイン」として力強く発信します。
私は江津青年会議所が将来に渡って継続、発展していく事を切に願い、その為に必要な組織の団結力強化と組織の変革を実行していく節目の一年として参ります。
江津JCグランドデザイン上での「守破離」とは、そうした未来を見据える為に今の我々に必要な考え方、あり方です。
守破離とは主に「道」を語る様々な技芸において、その道を極めんとするに必要となる考え方や要素を端的に現すものであり、様々な流儀の多くが最も重きを置く普遍的基礎です。
「守」は、基礎を現し、まずは決められた通りの動き、形を忠実に守っていく事を指します。
「破」は、応用を現し、守で得た基本にアレンジを加えて自分らしさを表現していく事を意味します。
「離」は、すなわち昇華させる事で初めて、形に囚われず、自由で、決して他の存在が真似できない境地に至る事が可能となるというものであります。つまり、何事も形をしっかりと身に付けることではじめて、高度な応用や個性の発揮が可能となっていく事を説いています。
これを我々青年会議所活動に置き換えた場合、「守」JCとは何たるかを基礎から再構築し、「破」足場を固めて更なる高みを目指し、「離」高度な独自性と際立った存在感を創り上げていく事と考えます。
我々が単なるの異業種交流会ではないと断言できるのは、共有出来る社会的目的があるからです。確かに日々の生活に少なからず犠牲を伴います。しかし、だからこそ頑張り甲斐があるのであり、仲間が出来るのであり、己が成長出来るのです。それこそが青年会議所の絶対的な魅力であり、続いて、続けてこその「道」なのです。
江津青年会議所のグランドデザインとは、創立40周年を契機に、地域の方々と共にマチの未来を語り、夢を描く活動を行う中で、組織の不変の使命を具現化するための戦略を明らかにしたものであり、それは心の底から強烈で明白で純粋な志=ビジョンです。
こうした強い想いには突き当たる壁、障害が必ずありますが、その壁を乗り越えるものがイノベーション、我々の志が地域イノベーションの原動力となるのです。
また、記念誌を発行する事により、江津青年会議所の功績を内外へ広く伝え、次の世代に40年の歴史を形として残し、継承していきます。
そして、所属する現役会員においては、記念式典を通じてあらためて会員自身が青年会議所の価値を高めると共に尊さを学べるものとします。周年という機会に触れるのは初めてという会員も多く、5年に1度しか経験出来ない貴重で実りある1年とします。
そのうえで、次の45周年に向けた出発に際して、溢れんばかりの高い志をもって、歩みを進めていきます。

石見広域連携による地区コンファレンスの開催

創立40年の歴史を持つ江津青年会議所は、明るい豊かな社会の創造を基軸に様々な視点と手法で運動を展開し、揺るぎない地域からの厚い信頼と太いつながりを作って来ました。積み重ねられた組織としての経験を軸に、未来のマチづくり運動を展開しなければなりません。
本年、2001年「地区フォーラム2001」より13年の歳月を経て「地区コンファレンス2014」が浜田青年会議所主管にて開催されます。
石見地方は東西に海岸線が広がり、美しい山並みに囲まれ、歴史と自然、文化が融合した素晴らしい地域です。
江津青年会議所は、ふるさとに住む一人ひとりがマチと向き合っていくことが大切であると考えます。
しかし、ふるさとに住む一人ひとりが他に依存しない「自立」と、互いに協力、助け合う「共助」の精神がなければ調和のとれたマチの創造は出来ません。
そこで、地区コンファレンス実行委員会では、石見地方に住む個人、企業や団体の方々に対し、ふるさとを含めた中国地区が抱える大きな問題や、これからの課題をメインフォーラム、各種セミナーや展示物を通じて直接的に伝え、情報や問題意識を共有します。
さらに、各地域に潜在する歴史、文化により育まれた「ふるさとの宝」の再認識を図り、他人事ではなく一人ひとりが直面する問題や課題、地域の魅力に関心を抱き、有機的なつながりを生むことで「自分たちのマチや地域は自分たちの手で創り、守る」という気概を醸成させ、未だ経験したことのない可能性に挑戦する過程において伝統芸能、食文化、風土を起爆剤にその魅力を最大限活かし「浜田」ひいては「石見」の魅力をヒトとヒト、ヒトとマチを通じて伝播していくことで、明るい豊かな社会の創造、実現に向かって大きな一歩を踏み出します。
そして、地区コンファレンスの開催・運営を通じて浜田青年会議所、益田青年会議所と広域連携を図り、江津青年会議所の更なる組織力の強化、他LOMとの一体感や妥協なき運動への姿勢を培い、高い志を持つことで真に地域から必要とされる団体、組織へと進化させることを念頭に、実行委員会の支援、管理、運営に従事いたします。

「結びに」

ヒトは一人で生きていくことは出来ません、また、自分さえ良ければという利己主義な会社が社会で存続し続けることは出来ません。我々は多くのご縁とつながりの中で生かされ、お互い様、お陰様の気持ちを持って感謝し日々活動しなければなりません。そして、その気持ちを忘れないためにもJCIクリードの最後の一文があるのです。

We believe: that service to humanity is the best work of life
人類への奉仕が人生最善の仕事である

青年会議所は自分自身を変えることが出来る素晴らしい組織です。私自身も沢山の仲間との友情と情熱を感じ、お金では決して買えないものを活動を通じて得る事が出来ました。40歳までという時間に限りのある活動だからこそ、悔いのない行動をして、我々自身がもっと青年らしく活発に、もっと楽しく活動をして沢山の経験の中で学ぶべきなのです。諦めない心と熱い情熱を持って試練に立ち向かい、それを乗り越え、時には失敗からでも多くを学びましょう。我々自身が「一騎当千」まだまだ成長していける今の時間(とき)を満喫して、歴史(かこ)から未来ある地域のために挑み続けるためにも、己を信じて突き進んでまいりましょう。

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